FXにおける両建てとは、同じ通貨ペアにおける「買いポジション」と「売りポジション」を同時に保有することを言います。両方のポジションを同時に所有することで、急上昇や急下落による損失の拡大を防ぎます。以下が具体例です。

  1. 1ドル=120円のときに1000通貨の買いポジションを保有する。
  2. 1ドル=100円に下落すると20円×1000通貨で買いポジション20000円の含み損が発生。
  3. 1ドル=110円になったときに1000通貨の売りポジションを保有する。
    →売りポジションは10円×1000通貨で10000円の含み損。

つまり買いポジション20000円の含み損から売りポジション10000円を差し引けば、含み損は10000円とすることができます。同一通貨ペアで買いポジションと売りポジションを同数保有していれば、つまりは決済しているのと同じ状態となります。

両建ては主に2つのケースに使われます。ひとつめは、長期戦略と短期戦略のトレードを行うケースです。長期的なトレンドには当該通貨ペアが上昇と予測し買いポジションを保有しているけれど、短期的なトレンドでは下落しているという場合に、売りポジションを保有することで下落分の損失を相殺するのです。ふたつめは、年末の税金対策のケースです。含み益があるポジションを持っており決済してしまうと、年間収支がプラスとなり税金が発生するという場合に使われます。反対ポジションを同時に保有することで、来年に含み益を持ち越すことができます。

しかし実は両建てはデメリットのリスクが大きいため、基本的にはFXにおいて両建ては推奨されていません。FXの業者によって差はありますが、単純に取引コストが2倍かかります。そしてスワップポイントでの利益を得られなくなったり、ロスカットの可能性が高まったりします。スワップポイントとは、日本円のような低金利と通貨とトルコリラのような高金利の通貨を取引しているときに生じる金利差による利益です。逆に金利差がマイナスだと損失が生じます。また為替相場の乱高下が続くと、スプレッド拡大してしまい損失が大きくなりロスカットとなってしまうことがあります。

MT4やEAを扱うFX会社ではこの両建てを禁止している会社も多くあります。両建てはゼロカットシステムにより、FX会社が損失を被る可能性が高いためです。ゼロカットシステムでは、証拠金以上の損失はFX会社が負担します。そのため利用者の損失は証拠金で抑えられますが、その損失はFX会社が被ることになるのです。両建て禁止のルールは各会社によって異なり、同一口座内ではOKだけど複数口座にまたがるのはNGなどの会社もあります。両建て禁止の口座で両建て行うと、厳しいペナルティが課されたり、最悪の場合口座停止になってしまったりするので、ルールは必ず守ってください。

しかしながら、EA稼働中に意図せず両建て状態となってしまった場合もペナルティを受けてしまうのでしょうか。このあたりはFX会社の判断によるところで、「意図的に」両建てを行っているとみなされた場合は、禁止事項に該当すると判断されるようです。

EAでもこの両建て戦略を利用したものがありますが、短命のものや損失が出るリスクが高いものが多いのでおすすめできません。口座破綻してしまう可能性もあり、ハイリスクでギャンブル性が高いトレードとなります。

両建ては取り扱いが難しいトレード手法で、正しい知識のもとで利用する分には有効となるのですが、初心者やあまり両建ての知識がない人が扱うにはリスクの高いものとなります。両建てはしっかりと内容を理解した上で、また利用しているFXで会社のルールに従って利用していってください。

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